[見どころ!] 栗原慶太vs井上拓真

1月14日(木) 後楽園ホール

東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ


王者・栗原慶太(一力)

vs

挑戦者・井上拓真(大橋=元WBC世界バンタム級暫定王者)


栗原=1993年1月10日、東京都出身の28歳。一力ジム所属。右ボクサーファイター型。戦績:20戦15勝(13KO)5敗。

井上=1995年12月26日、神奈川県出身の25歳。大橋ジム所属。右ボクサーファイター型。戦績:14戦13勝(3KO)1敗。


総合力で勝る井上

強打に定評の栗原


 65パーセントのKO率を誇る栗原が、元WBC世界バンタム級暫定王者の井上を迎えて東洋太平洋バンタム級王座の2度目の防衛戦に臨む。現在、栗原がIBFで4位、井上がWBC7位、WBO6位にランクされており、世界を舞台にしたサバイバルマッチとしても興味深いカードだ。

 栗原は2011年4月のデビューから7戦目までは3勝4敗と負け越していたが、以後は13戦12勝(10KO)1敗と見違えるような数字を残している。この1敗は現世界ランカーの勅使河原弘晶(輪島⇒三迫)に喫したものだ。18年12月に現在の王座を獲得し、初防衛戦では世界挑戦経験者のワルリト・パレナス(フィリピン)を35秒KOで退けている。19年11月にはIBF4位にランクされていたスックプラサード・ポンピタック(タイ)に2回TKO勝ちを収めるなど目下6連勝(5KO)と絶好調だ。必ずしもディフェンスは堅いとはいえないが、石で殴るような硬質感のあるパンチは左右とも強い。特に被せるように打ち込む右と左フックは破壊力満点だ。

 井上はアマチュアを経て2013年12月にプロ転向を果たし、15年7月に東洋太平洋スーパーフライ級王座を獲得。翌16年暮れには9戦目での世界挑戦が決定したが、拳を痛めたため見送った経緯がある。1年近いブランク後に戦線復帰を果たし、国内外の強豪を連破したあと18年12月にはWBC世界バンタム級暫定王座を獲得した。19年12月、WBC正王者のノルディーヌ・ウバーリ(フランス)との団体内統一戦で判定負けを喫しており、これが1年1ヵ月ぶりの再起戦となる。この間、兄でWBA、IBF世界バンタム級王者の井上尚弥のサポートにまわった時期もあるが、昨年秋からは兄が補助役を務めている。

 試合数では栗原が上回るが、対戦相手の質や実績など総合的な経験値では井上が勝る。特に世界戦のリングに2度上がっていることは大きなアドバンテージといっていいだろう。兄のような強打こそ持ち合わせていないが、足をつかいながら出入りするボクシングをベースに接近しても離れても戦えるところが井上の利点といえる。ただ、栗原のパワーパンチには十分な注意が必要だ。特にパンチの軌道やタイミングが読み切れない序盤は慎重に構える必要があるだろう。井上有利は不動といえるが、栗原の強打が波瀾を起こす可能性もある。(原功)

東日本ボクシング協会

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