[見どころ!]井上尚弥 vs.ノニト・ドネア

6月7日(火)さいたまスーパーアリーナ

WBA、IBF、WBC世界バンタム級王座統一戦

WBAスーパー王者、IBF王者
井上尚弥(大橋)
vs
WBC王者
ノニト・ドネア(フィリピン/アメリカ)

井上=1993年4月10日、神奈川県出身の29歳。右ボクサーファイター型。戦績:22戦全勝(19KO)。

ドネア=1982年11月16日、フィリピン出身の39歳。右ボクサーファイター型。戦績:48戦42勝(28KO)6敗。

再び激闘か一方的な展開か

オッズは9対2で井上有利


 2019年11月7日、両者は今回と同じ会場で拳を交え、歴史に残る激闘を展開。WBA&IBF王者としてリングに上がった井上がWBAスーパー王者のドネアから11回にダウンを奪って12回判定勝ちを収め、名実ともに2団体王者となった。併せて階級最強決定トーナメント「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」バンタム級優勝を飾った。あれから2年7ヵ月、井上は3KO勝ちを収めて勢いを増しており、一方のドネアは4回KO勝ちでWBC王座を獲得したあと団体内の統一戦では暫定王者を4回KOで一蹴、こちらも復活を印象づけている。今回の3団体王座統一戦には「ドラマ・イン・サイタマ2」というキャッチがつけられたが、はたしてどんな結末が待っているのだろうか。

 初戦は井上の圧勝が予想されていたが、2回にドネアの左フックを被弾して右目上をカットしたうえ眼窩底骨折というアクシデントに見舞われた「モンスター」は大苦戦。9回には右を浴びて大きく体が傾く窮地に追い込まれるシーンもあった。しかし、そのピンチを脱した井上は11回に左ボディブローで値千金のダウンを奪って12回判定勝ちを収めた。世界の多くのメディアで年間最高試合に選ばれたほどの激闘だった。

 結果的に打撃戦になったが、そのなかで両者間の戦力で最も差が顕著だったのはスピードだ。おそらく井上はそのアドバンテージを生かした戦い方をしてくるものと思われる。速くて正確な左ジャブを多用して相手をコントロールし、自らは危険の外に身を置く。そうして徐々にドネアの集中力を削り、同時に攻め手を塞いでいき、

好機に一気に攻め落としてしまうという戦い方が理想だ。

 ドネアは得意の左フックと右ストレートを打ち込みたいところだが、そのためには井上の左ジャブを掻い潜る、あるいは出させなくする必要がある。初戦同様、早い段階で井上にダメージを与えるなり警戒心を植えつけるなりして心理的かつ展開面でも優位に立っておきたいところだ。「罠を仕掛ける」と宣言しているが、どんな策を用いてくるのか楽しみであると同時に不気味でもある。

 初戦の続きのような展開になるのか、それとも井上が言うように「ドラマにはならない。一方的に終わると思う」という試合になるのか。オッズは9対2で井上有利と出ている。(原功)

東日本ボクシング協会

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