[見どころ]井上尚弥 vs ポール・バトラー

12月13日(火)有明アリーナ
世界バンタム級4団体王座統一戦
3団体王者・井上尚弥(大橋) 
vs
WBO王者ポール・バトラー(イギリス)


井上=1993年4月10日、神奈川県出身の29歳。右ボクサーファイター型。戦績:23戦全勝(20KO)。

バトラー=1988年11月11日、イギリス出身の34歳。右ボクサーファイター型。戦績:36戦34勝(15KO)2敗。

攻撃力に大差
井上が快挙達成か

 3階級制覇の実績を持つ井上が、今度は日本初の4団体王座の統一を狙ってバトラーと対戦する。このクラスで2度の戴冠を成し遂げているバトラーを侮ることはできないものの総合力には歴然とした差があり、井上の快挙達成が濃厚だ。

 井上はプロ6戦目、21歳の誕生日直前にライトフライ級で最初の世界王座を獲得した。当然のことながら当時は経験値が十分とはいえなかったが、8ヵ月後にスーパーフライ級、2018年にはバンタム級でも王座を獲得。すでに全試合数は23に上り、そのうち世界戦は18に増えた。スピード、パワー、テクニック、スタミナ、耐久力などに加え経験値も高い次元にアップし、完璧ともいえる戦力を誇るまでになった。半年前には元5階級制覇王者のノニト・ドネア(フィリピン)を2回TKOで屠っており、評価と自信を増して今回の試合に臨む。

 バトラーは2010年に22歳でプロデビューし、スーパーフライ級の地域王座を獲得後、2014年6月にIBF世界バンタム級王座につくなど早い出世を果たした。しかし、「ベスト体重の階級ではない」として数日後に王座を返上。スーパーフライ級に戻ったもののIBF王者のゾラニ・テテ(南アフリカ共和国)に手酷い8回TKO負けを喫したこともあり、その後、再びバンタム級に戻った。4年前にはIBF王座決定戦に出場する機会を得たが、このときは体重超過という失態を犯し、試合でも初回に2度のダウンを喫してエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)に12回判定で完敗した。今年4月、ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)への挑戦が2度にわたって流れたのを受けて行われた暫定王座決定戦でジョナス・スルタン(フィリピン)に判定勝ち。数日後、カシメロの王座剥奪にともない正王者に昇格したという経緯がある。

 世界王者同士の対決とはいえ20対1というオッズが出ているように井上が圧倒的有利であることは間違いない。特に攻撃力に関しては大差があり、バトラーがよほど奮起しないと前半のKO決着も考えられる。勝負に絶対はありえないとはいえ、序盤でのパンチによる大きな負傷や肉体面の重大なトラブルなど井上の身に不測の事態が起こらないかぎりアジア人初の4団体王座統一のシーンが見られそうだ。(原功)

東日本ボクシング協会

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