[見どころ!]スティーブン・フルトン vs.井上尚弥

7月25日(火)有明アリーナ

WBC、WBO世界バンタム級タイトルマッチ

王者スティーブン・フルトン(アメリカ)
vs
挑戦者・井上尚弥(大橋)

フルトン=1994年7月17日、アメリカのペンシルベニア州フィラデルフィア出身の29歳。右ボクサー型。戦績:21戦全勝(8KO)。

井上=1993年4月10日、神奈川県座間市出身の30歳。右ボクサーファイター型。戦績:24戦全勝(21KO)。

距離を巡る攻防に注目
オッズは7対2で井上有利

 今年1月、バンタム級4団体王座を返上してスーパーバンタム級に転向した井上が、いきなり階級最強の評価がある2団体王者のフルトンに挑む。勝てば4階級制覇となるが、フルトンもなかなかの実力者。井上にとっても相応のリスクを伴う試合になる。

 2012年10月にプロデビューした井上はライトフライ級=2試合(2KO)、スーパーフライ級=8試合(7KO)、バンタム級=9試合(8KO)の世界戦を経験しており、今回が区切りの20度目の世界戦となる。

スピード、パワー、テクニック、ディフェンス、スタミナなど細かな戦力チャートを作成した場合にキャリアが不足していた時期もあったが、いまは欠点らしいものが見当たらず戦力表は満点といってもいいだろう。

ただ、今回に限ってみれば「初」が多い試合といえる。スーパーバンタム級で初の試合、初のアフリカ系アメリカ人との対戦、自分よりも若くて体の大きい全勝の相手との対戦などなど。一方、それらが井上のモチベーションを高めていることも事実だ。

 フルトンにとっても今回はプロ初のアメリカ国外での試合となるなど「初」は少なくない。なんといっても井上のような総合的に極めて高いレベルの戦力を備えた選手との対戦が初めてという点に注目すべきだろう。3度の世界戦ではアンジェロ・レオ、ブランドン・フィゲロア、ダニエル・ローマンと3人の同国人にいずれも12回判定勝ちを収めてきたが、彼らと井上を同列に位置づけることはできない。自慢のスピード、防御技術、危機回避能力が「モンスター」を相手にどれだけ機能するかは蓋を開けてみなければ分からない。

 井上がプレッシャーをかけ、フルトンが足と左ジャブをつかいながら迎え撃つ展開が予想される。前半、中盤、後半のどこでも井上の右ストレート、顔面とボディへの左フックがクリーンヒットすれば鮮やかなKOが見られそうだが、問題はフルトンがヒット&アウェーに徹したときだろう。特に前半でフルトンが主導権を握った場合は厄介なことになりそうだ。パンチを出しては距離をとり、接近すると大きな体でクリンチ――そんな展開になると井上のストレスも溜まり集中力を欠く瞬間が出て来ないとも限らない。そう考えると両選手にとって前半が勝負の流れを決める重要なラウンドになりそうだ。ちなみにウィリアム・ヒルの単純勝敗オッズは7対2で井上有利と出ている。(原功)

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