[見どころ!]井上尚弥 vs.マーロン・タパレス
12月26日(火) 有明アリーナ
世界スーパーバンタム級4団体王座統一戦
WBC&WBO王者・井上尚弥(大橋)
vs.
WBA&IBF王者マーロン・タパレス(フィリピン)
井上=1993年4月10日、神奈川県出身の30歳。右ボクサーファイター型。戦績:25戦全勝(22KO)。
タパレス=1992年3月23日、フィリピン出身の31歳。左ボクサーファイター型。戦績:40戦37勝(19KO)3敗。
中盤にヤマか
井上の4団体王座統一が濃厚
7月にスティーブン・フルトン(アメリカ)を8回TKOで屠って4階級制覇を果たした井上が、バンタム級に続きスーパーバンタム級でも4団体王座統一を狙ってタパレスと対戦する。2階級で4本のベルト収集となればテレンス・クロフォード(アメリカ)に続いて史上2人目となる。その可能性は極めて高いといえる。
井上はスピード、パワー、テクニック、心身のスタミナ、耐久力、頭脳などボクシングに必要な要素を高い次元でバランスよく備えている。当然のことながら20代前半は経験値が十分とはいえなかったが、ここ数年でイギリスやアメリカでの試合や他団体王者との統一戦などをこなし、伸びしろを残しながら充実期に入った印象だ。
フルトン戦後、休養を挟んで今回の試合に向けて116ラウンドのスパーリングをこなしたという。最終的なコンディション調整を残してはいるが、備えは万全といっていいだろう。
タパレスは2016年にWBO世界バンタム級王座を獲得したが、大森将平(ウォズ)との初防衛戦を前に計量で体重超過のため失格(試合は11回TKO勝ち)。それを機にスーパーバンタム級に転向し、今年4月にムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)に2対1の12回判定勝ちを収めて2階級制覇を成し遂げた。ただ、この間に岩佐亮祐(セレス)に11回TKO負けを喫するなど挫折も味わっている。
身長163センチのサウスポーで、適度に足をつかいながら左のオーバーハンドや右フックで飛び込み、近距離では左アッパーを突き上げることが多い。岩佐戦では攻防ともにラフな面が目立ったが、アフマダリエフ戦では最初から最後まで集中力を切らさずに巧みに距離を操って戦い切った。
イギリスのウィリアムヒルで14対1という単純勝敗オッズが出ているように、井上が圧倒的有利であることは間違いない。総合的な戦力にはそれほどの差があると見られているのだ。井上が足をつかいながら角度をつくってサウスポーのタパレスに左ジャブを浴びせ、相手が飛び込む機会を最小限に抑え込んでしまう可能性が高い。そのうえで右ストレート、左ボディブローなど多彩なパンチで脅かす展開に持ち込むものと思われる。中盤あたりにヤマが訪れるとみる。ただし、飛び込みながら放つタパレスの左と右フック、接近戦でのアッパーには十分な注意が必要だ。(原功)
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