[見どころ!]井上尚弥 vs.TJドヘニー

9月3日(火)有明アリーナ
4団体統一世界スーパーバンタム級タイトルマッチ
王者・井上尚弥(大橋)
vs.
挑戦者・TJドヘニー(アイルランド=元IBF同級王者)

井上=1993年4月10日、神奈川県出身の31歳。右ボクサーファイター型。戦績:27戦全勝(24KO)

ドヘニー=1986年11月2日、アイルランド出身の37歳。左ボクサーファイター型。戦績:30戦26勝(20KO)4敗

井上のKO防衛が濃厚
まずは前半の攻防に注目

 この数年、階級を超越した最強ランキング「パウンド・フォー・パウンド」の上位常連となっている4階級制覇王者、井上の統一王座2度目の防衛戦。「パワー」というニックネームを持つ元王者のドヘニーを相手に圧勝劇が見られそうだ。

 井上は5月のルイス・ネリ(メキシコ)戦で3度のダウンを3度奪って豪快な6回TKO勝ちを収めた。圧倒的な強さを見せつけた一方、アマチュア、プロを通じて初めてのダウンを喫したことで、図らずも「井上も人間なんだなと思った」(ドヘニー)とライバルたちに少なからず希望を与えもした。ダウンは偶然の産物だったのか、それとも綻びの一端なのか――そういった意味では今回のドヘニー戦は今後を占う重要な試合として位置づけることはできる。

 そのドヘニーは6年前に初来日して岩佐亮祐(セレス)に12回判定勝ちを収めIBF世界スーパーバンタム級王座を奪取。初防衛戦では高橋竜平(横浜光)を11回TKOで退けている。その後、WBA王者との統一戦で敗れ無冠になった試合を含め、一時は6戦2勝4敗というスランプを経験したが、昨年来、日本で3連勝を収めている。中嶋一輝(大橋)を4回、ジャフェスリー・ラミド(アメリカ)を1回、いずれも鮮烈なTKOで下し、井上対ネリの前座ではフィリピンの中堅を4回で一蹴。持ち味のパワーを存分に見せつけている。

 ドヘニーは過去には前日計量後、1日で体重を12㎏ほど戻したことがあり、今回も67㎏前後でリングに上がることが予想される。20度のKO勝ちのうち14度は4ラウンド以内というデータと合わせて考えると、井上も前半は十分に警戒する必要がありそうだ。

 ただ、ドヘニーが売りにするパワーを含め個々の戦力では井上がすべてで大きく上回っているといっていいだろう。ネリ戦のダウンも貴重な経験になっているはずで、井上が同じミスを犯すことは考えにくい。サウスポーのドヘニーが最も力を発揮する前半は慎重に対峙し、スピードを生かして徐々に引き離していく策を選択するのではないだろうか。それでも両者の戦力差を考えると勝負が終盤にまで伸びることは想像しにくい。(原功)

東日本ボクシング協会

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