[見どころ!]ブライアン・ノーマン vs.佐々木尽

6月19日(木)大田区総合体育館
WBO世界ウェルター級タイトルマッチ
王者 ブライアン・ノーマン(アメリカ)
vs
挑戦者・佐々木尽(八王子中屋)

ノーマン=2000年11月23日、アメリカ出身の24歳。右ボクサーファイター型。戦績:29戦27勝(21KO)2無効試合

佐々木=2001年7月28日、東京都出身の23歳。右ファイター型。戦績:21戦19勝(17KO)1敗1分

KO決着間違いなしのカード
佐々木は歴史をつくれるか

 1952年に白井義男氏が日本に初の世界王座をもたらしてから73年。ミニマム級~ミドル級まで日本のジムから100人以上の男子世界王者が誕生したが、ウェルター級だけは戴冠者がいない。欧米を中心に選手層が厚い階級だけに挑戦することも容易ではなく、過去4人(5度)が世界王座に挑んだが目的を果たせないまま現在に至る。その高い壁に佐々木が挑む。23歳のファイターは新しい歴史をつくることができるか。

 佐々木の挑戦を受けるノーマンはアマチュアを経て2018年1月に17歳でプロデビュー。キャリア前半の相手は負け越し選手がほとんどで、多少骨のある相手との対戦は2020年以降に限られてくる。昨年3月、すでにWBO10位にランクされていたノーマンはWBOインターナショナル王座の防衛戦に臨んだが、初回にジェネルソン・ボカチカ(アメリカ)の右カウンターをアゴに浴びてダウン。偶然のバッティングによる流血のため3回ノーコンテストに終わったが、命拾いした試合だった。2ヵ月半後、ジョバンニ・サンティリャン(アメリカ)を滅多打ちにしてWBO暫定王座を獲得。のちに正王者に昇格した。今年3月にはデリック・クエバス(プエルトリコ)に3回TKO勝ちを収めて初防衛を果たしている。身長173㎝、リーチ183㎝とウェルター級では大きい方ではないが、そのぶん体は分厚い。元来は攻撃型だがサンティリャン戦では迎撃戦法を選択。ロープを背負いながらも巧みに迎え撃ち、10回にアッパーで痛烈なダウンを奪って仕留めている。大きく株を上げた試合といえるが、ボカチカ戦のダウンもあり、まだ評価定める段階とはいえない。

 佐々木は2018年8月に17歳でプロデビューし、2年前にWBOアジアパシフィック王座を獲得し、初防衛戦では世界挑戦経験者の小原佳太(三迫)をダウン応酬のすえ3回TKOで下している。昨年5月には東洋太平洋王座も獲得し、それらを含め引き分けを挟んで8連勝(7KO)と勢いを増している。

 身長174㎝、リーチ176㎝の体を丸めながら接近を図り、踏み込んで左右フックを顔面とボディに打ち分ける攻撃的なボクシングが持ち味だ。攻撃の突破口になる左ジャブはスピードもある。

 ともに攻撃型の選手だが、序盤で主導権を握っておきたいという思いは佐々木の方が強いのではないだろうか。いつものようにハイペースで飛ばす可能性もある。ノーマンの防御を突き破って佐々木の強打が急所に命中した場合は序盤でのKO戴冠も考えられる。逆に冷静に王者に迎え撃たれ、隙を突かれてカウンターを被弾ということも想定される。短期決着も含めKO決着が約束された試合だけに瞬きは厳禁だ。(原功)

東日本ボクシング協会

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