[見どころ!]那須川天心 vs. 井上拓真

11月24日(月=振替休日)TOYOTA ARENA TOKYO
WBC世界バンタム級王座決定戦
那須川天心(帝拳)
vs.
井上拓真(大橋)

那須川=1998年8月18日、千葉県出身の27歳。左ボクサーファイター型。戦績:7戦全勝(2KO)

井上=1995年12月26日、神奈川県出身の29歳。右ボクサーファイター型。戦績:22戦20勝(5KO)2敗

スピードと勢いの那須川 vs 経験とスタミナの井上

 中谷潤人(M.T)が返上して空位になった王座をWBC1位の那須川と、元WBA、WBC暫定王者で現WBC2位の井上が争う。サウスポー(那須川)とオーソドックスの違いはあるが、スピードのある技巧派同士のカードだけに技術戦が期待できそうだ。

 キックボクシングで42戦(全勝28KO)のベースがある那須川は2023年4月にプロボクシングに転向し、2年半で7連勝を収めている。獲得した王座はWBOアジアパシフィック王座ひとつだが、元世界王者のジェーソン・モロニー(オーストラリア)をはじめ4人の世界ランカーを下しており、中身は濃い。直近の3試合はKOを逃しているが、10ラウンドをフルに戦い切ったことでスタミナや配分という面で経験値を上げているといえる。

 那須川は「蕾をつけてきたので、今回は花を咲かせようと思う」と話している。井上については「自分よりも何倍も経験のある選手。こちらが知らないことも知っていると思うが、準備してきたことすべてをぶつける」と意気込んでいる。

 2013年12月にプロデビューした井上は6度の世界戦(4勝1KO2敗)を含め那須川の3倍のキャリアを積んできた。2018年12月~2019年11月にかけてWBC暫定王座、2023年4月~2024年10月までWBA王座に君臨した実績を持つが、今回が堤聖也(角海老宝石)に敗れてから1年1ヵ月ぶりの実戦となる。心身ともに万全のコンディションに整えるものと思われるが、もしも不安要素があるとすれば前戦で敗れていることとブランクの2点だろう。

 試合決定の発表会見で井上は「過去イチ、モチベーションが上がっている。どんな試合になるか緊張感がある。(那須川は)急成長で上がってきた選手。技術勝負になると思う」と話している。

 ともにスピードがあり勘が良いため足を止めての正面からの打撃戦は考えにくい。那須川が前後左右に動いて揺さぶりをかけながら出入りする機会をうかがい、井上がカウンターや相手の打ち終わりを狙う攻防パターンになるかもしれない。よりスピードのある那須川には勢いもあるが、井上には経験やスタミナが備わっている。総合力は互角と見ていいだろう。KOのスリルとは異なる高度で濃密な技術戦が期待できる。(原功)

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