【見どころ】瞬き厳禁!「モンスター」vs「フィリピンの閃光」

11月7日(木)さいたまスーパーアリーナ
WBA&IBF世界バンタム級タイトルマッチ
王者 井上尚弥(大橋)vs ノニト・ドネア(フィリピン)挑戦者

 WBA&IBF世界バンタム級王者の井上尚弥(26=大橋)が、WBA同級スーパー王者のノニト・ドネア(36=比)と階級最強決定トーナメント「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」の決勝で拳を交える。ともに攻防兼備の万能型強打者だけに初回から緊迫した試合が見られそうだ。

 井上はライトフライ級、スーパーフライ級に続いて昨年5月にはバンタム級のWBA王座を獲得し、3階級制覇を成し遂げた。その5ヵ月後にはWBSS初戦の準々決勝で元王者のファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)を芸術的な右の一撃でKO、初防衛を果たした。今年5月には英国でIBF王者のエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)と対戦して2回KO勝ち。2団体の王座を統一するとともに今回のWBSS決勝に駒を進めた。18戦全勝(16KO)のレコードが示すとおりの強打者で、右ストレート、顔面とボディへの左フックなど幅広い攻撃技術を身に着けている。防御も固く、アマチュアとプロを通じてダウンはもちろんのこと顔面を切って出血したことがないほどだ。

 ドネアは漫画やアニメ、歴史など日本の文化に強い興味を持つ親日家として知られるが、この国で試合をするのは初めてとなる。07年にフライ級で戴冠を果たしたのをはじめフェザー級までの5階級で世界王座を獲得しており、この点では井上を上回っている。体格

で勝る猛者たちを相手にした冒険は昨春で終わりにし、昨夏にバンタム級に戻ってWBSS参戦を決めた。初戦ではWBAスーパー王者のライアン・バーネット(英国)と当たったが、相手が試合中に腰を痛めて棄権、4回終了TKO勝ちを収めて王座返り咲きを果たした。今年4月の準決勝ではWBO王者のゾラニ・テテ(南アフリカ共和国)と対戦するはずだったが、今度はテテが右肩を故障。そのためドネアはリザーバーと戦い6回KO勝ちを収めた。ドネアは右構えでも左構えでも戦える器用な選手だが、基本はオーソドックス・スタイルだ。独特のタイミングで打ち出す左フックと右ストレートを主武器としている。

 ともに一撃で相手を失神させるだけのパンチを数多く持っており、初回から瞬き厳禁の試合になるものと思われる。どのパンチをどう当てるのか、そのためにどんな工夫をするのか。パワーに加え駆け引き、細かなテクニックなど見応えのある試合が見られそうだ。「サムライ同士の斬り合いみたいな試合になると思う。私たちはふたりともパワーがあるので、先にミスした方が敗北に近づくだろう」(ドネア)――まさに、そんな試合になるはずだ。(原功)

井上尚弥=1993年4月10日、神奈川県出身の26歳。大橋ジム所属。右ボクサーファイター型。戦績:18戦全勝(16KO)

ドネア =1982年11月16日、フィリピン出身の36歳。右ボクサーファイター型。戦績:45戦40勝(26KO)5敗。

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