【見どころ】V2中の細川の経験か、体格で勝る井上の強打か

4月6日(土)後楽園ホール
日本スーパー・ライト級タイトルマッチ
王者 細川バレンタイン(角海老宝石)vs 井上浩樹(大橋)挑戦者

 試合の10日後に38歳の誕生日を迎えるベテランの細川に、プロ転向から3年4ヵ月で12戦全勝(10KO)をマークしている26歳のホープ、井上が挑む。今年のチャンピオン・カーニバルの最注目カードといっていいだろう。

 細川は08年の全日本新人王を獲得した実績を持つが、その後は日本王座に2度挑んで失敗。その間、韓国で東洋太平洋王座にも挑戦したが、キム・ミヌク(韓国)に11回TKOで敗れている。ジム移籍後の17年12月、麻生興一(三迫)に競り勝ち36歳で念願の日本一の座についた。この王座は2度防衛中だ。初防衛戦では強打のデスティノ・ジャパン(ピューマ渡久地)とのダウン応酬の激闘を7回TKOで制し、V2戦では旧知の稲垣孝(フラッシュ赤羽)を176秒で一蹴した。最近の細川は動きながら飛び込む機会をうかがいながらタイミングのいいパンチを当てる技術に磨きがかかっており、37歳にして勢いが感じられる。

 挑戦者の井上は、井上尚弥&拓真兄弟(ともに大橋)のいとこで、ふたりに劣らない才能の持ち主といわれている。まだプロでは本当に試されるような試合を経験してはいないが、現日本4位のアオキ・クリスチャーノ(角海老宝石)に2回終了TKO勝ち、昨年10月には当時日本2位だったマーカス・スミス(平仲)に8回判定勝ちを収めている。このスミス戦は芳しい出来とはいえなかったが、試合前から右肘を痛めていたことを考慮する必要はあるだろう。井上は83パーセントのKO率が示すとおりのサウスポーの強打者で、左ストレートと右フックが特に強い。

 この両者は3年ほど前にスパーリングで手合わせした経験があり、細川によると「僕がボコボコにやられた」ということだ。ともに「あのときとは違う」と口を揃えるが、どちらかに心理的な影響を与える可能性はあるかもしれない。体格で大きく勝るサウスポーの井上が最初からプレッシャーをかけて出るのか、それとも経験値の高い細川が主導権を握るために先に仕掛けて出るのか。はたまた互いに偵察に時間を費やすのか、あるいはいきなりスリリングな打ち合いになるのか――まずは初回の攻防に注目したい。そのうえで両陣営がどんな策を授けるのか、興味の尽きない一戦だ。(原功)

細川=1981年4月16日、宮崎県出身の37歳。角海老宝石ジム所属。右ボクサーファイター型。戦績:33戦24勝(11KO)6敗3分

井上=1992年5月11日、神奈川県出身の26歳。大橋ジム所属。左ボクサーファイター型。戦績:12戦全勝(10KO)

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