【見どころ】サウスポー対決は序盤から距離を巡る主導権争いか

8月16日(木)後楽園ホール
IBF世界スーパー・バンタム級タイトルマッチ
王者 岩佐亮佑(セレス)vs T.Jドヘニー(オーストラリア)

 昨年9月に小國以載(角海老宝石)を6回TKOで下して戴冠を果たした岩佐のV2戦。19戦全勝(14KO)の戦績を誇る1位の指名挑戦者を相手に王座を守ることはできるのか。

 プロ転向時から「将来の世界王者候補」として注目されてきた岩佐だが、11年3月に山中慎介(帝拳)に10回TKO負けを喫して勢いがストップ。再浮上して15年6月にはIBF世界バンタム級暫定王座決定戦までこぎ着けたが、リー・ハスキンス(英)に6回TKO負けと、肝心なところで武運に見放されてきた。それだけにプロ10年目に獲得した世界のベルトは長く保持したいところだ。特に今年3月の初防衛戦では大差の12回判定勝ちを収めたもののストレスの溜まる内容だっただけに、今回は指名挑戦者を相手に底力を見せつける必要に迫られている。

 その岩佐を脅かすドヘニーはアイルランドの出身で、アマチュアを経て12年4月にオーストラリアでプロ転向を果たした。地域王座を獲得して世界ランクに入り、3年前には元世界王者のデンカオセーン・カオビチット(タイ)に5回TKO勝ち。さらに昨年12月にマイク・タワチャイ(タイ)を12回判定で下して今回の指名挑戦権を手に入れた。岩佐と同じサウスポーで、右で牽制しながら圧力をかけ、左ストレートや接近した際の左アッパーなどを主武器としている。74パーセントのKO率を誇るが、全体的なスピードや滑らかさは感じられない。

 サウスポー同士の対戦となるためオーソドックスを相手にするときよりも近い距離でパンチのやり取りをすることになるが、これがどちらに有利に働くか、そのあたりがカギになりそうだ。岩佐は「鬼門のサウスポー」と自虐的な言い回しをするが、プロではサウスポーを相手に6戦して4勝(4KO)2敗の数字を残している。山中とハスキンスに敗れたのは相手が左構えだからというよりも、その時点での力関係と分析すべきだろう。一方のドヘニーはサウスポーとの対戦実績が少なく、今年3月の前哨戦で元世界ランカーのマイク・オリバー(米)を相手にテストした印象が強い。ただ、2年半近いブランクのあった38歳のオリバーと、総合的な戦力を上げて充実期に入った岩佐を一緒に考えるようなことがあると痛い目に遭うだろう。

 ドヘニーは圧力をかけながら距離を潰そうとするだろうが、岩佐はスピードと多彩なパンチを用いて容易にそれを許すまいとするはず。序盤から距離を巡る激しい主導権争いが繰り広げられることになりそうだ。(原功)

岩佐=1989年12月26日、千葉県出身の28歳。セレスジム所属。左ボクサーファイター型。戦績:27戦25勝(16KO)2敗。

ドヘニー=1986年11月2日、アイルランド出身の31歳。左ボクサーファイター型。戦績:19戦全勝(14KO)。

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