【見どころ】攻撃力と勢いの久我、技術とスピードの和氣

7月27日(金)後楽園ホール
日本スーパー・バンタム級タイトルマッチ
王者 久我勇作(ワタナベ)vs 和氣慎吾(FLARE山上)

 日本スーパー・バンタム級王座を獲得した試合を含め5連勝(4KO)と勢いに乗る攻撃型の久我と、世界戦も経験している技巧派サウスポーの和氣。勝者が世界挑戦の扉を開き、敗者が後退するという国内トップ同士のサバイバル戦だ。

 3度目の防衛を狙う久我は右のボクサーファイター型だが、常に攻撃姿勢を維持する好戦的な選手といえる。パンチは右も左も強い。王座を奪った石本康隆(帝拳)戦では左のボディブローでダメージを与えて相手陣営からのストップを呼び込んでおり、今年3月のV2戦では左アッパーからの右ストレートと左フックで133秒の間に2度のダウンを奪ってけりをつけている。攻撃力と勢いでは明らかに挑戦者を上回っている。現在はスーパー・バンタム級でWBAとWBCで7位、IBF14位、WBO12位にランクされている。世界戦の経験を持つ和氣を倒して勝てば一気に将来の展望が開けるだけに、モチベーションも高いはずだ。

 試合の6日前に31歳になった和氣は12年のプロキャリアを持ち、すでにベテランの域に入りつつある。13年3月、のちに世界王者になる小國以載(VADY⇒角海老宝石)に10回TKO勝ちを収めて東洋太平洋王座を獲得し、5連続KO防衛を記録。余勢を駆って2年前にはIBF世界スーパー・バンタム級王座決定戦に臨んだが、ジョナタン・グスマン(ドミニカ共和国)の強打の前に11回TKOで敗れた。その後はジムを移籍するなど心機一転、4連続KO勝ちを収めている。久我よりも4センチ大きい175センチの長身サウスポーで、スピードに定評がある。こちらはバンタム級でWBA10位、スーパー・バンタム級でWBC18位、IBF8位にランクされている。4団体すべてで挑戦圏内にいる久我に勝てば再び上位進出が約束されるだけに、やはり極めて高い目的意識を持っているはずだ。

 若さと勢い、そして攻撃力で勝る久我がわずかに有利と思われるが、和氣がサウスポーということで蓋を開けてみないと展開は読みにくい。王者の圧力が効いて挑戦者の可動範囲が狭まり距離が縮まるようなら久我のペース、逆に和氣が足とスピードを生かして相手をコントロールするようならば挑戦者ペースといえるだろう。いずれにしても序盤から目の離せない試合になりそうだ。(原功)

久我=1990年11月5日、東京都出身の27歳。ワタナベジム所属。右ボクサーファイター型。戦績:19戦16勝(11KO)2敗1分。

和氣=1987年7月21日、岡山県出身の31歳。左ボクサー型。FLARE山上ジム所属。戦績:31戦24勝(16KO)5敗2分。

東日本ボクシング協会

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