【見どころ】在位4年のV6王者 vs 3階級制覇狙う“モンスター”

5月25日(金)大田区総合体育館
WBA世界バンタム級タイトルマッチ
王者 ジェイミー・マクドネル(イギリス)vs 井上尚弥(大橋)挑戦者

 すでにライトフライ級とスーパーフライ級で世界王座を獲得している井上が、3階級制覇を狙ってマクドネルに挑む。身長で14センチ、リーチで19センチ勝るV6王者を“モンスター”はどう攻略するのか。

 「ナオヤ・イノウエ」の名は日本のみならず世界中のボクシングファンの知るところであり、その近未来は注目の的でもある。6戦目でライト・フライ級王座を獲得し、8戦目で世界的な拳豪オマール・ナルバエス(アルゼンチン)を2回で沈めるなど、井上のプロ15戦は中身が濃くインパクトも強い。アメリカの老舗専門誌「リング」では全階級を通じた強さ指数ともいうべき「パウンド・フォー・パウンド」で7位にランクされるほどだ。スピード、パワー、テクニック、ハートの強さ、頭脳と柔軟性など戦うために必要な戦力を極めて高い次元でバランスよく備えている。試されていない点があるとすれば耐久力だが、ほとんど被弾することがないのだからテストの機会そのものがないということだ。ただ、今回はバンタム級に上げるため、相手との体格差をどう埋めるかという課題が生じていることは事実である。多少なりとも減量苦から解放され、さらなるパワーの上積みがあるのか、それともサイズに苦しむことになるのか。蓋を開けてみてのお楽しみということになろうか。

 そんな25歳の挑戦者受けるマクドネルは身長178センチ、リーチ183センチという恵まれた体格の右ボクサーファイターで、プロキャリアは13年、4年の在位で6度の防衛を果たしている安定王者だ。13年5月にはIBF王座を獲得したが、初防衛戦を行わずに返上し、1年後に現在保持しているWBA王座を獲得した。3年前にはWBO王座を放棄して挑んできた亀田和毅(協栄)を2度跳ね返している。初戦では3回に亀田の右フックを浴びてダウンを喫したが挽回。再戦では最終回に右で亀田からダウンを奪ってダメ押し点をゲットしている。井上にとっての攻略のヒントと注意すべき点がこのあたりにありそうだ。

 マクドネルは体格を生かして左ジャブを突いて懐に入らせまいとするだろう。それに対して距離を潰したい井上がどう入り込むかが最大の焦点といえよう。もしも挑戦者が戸惑いをみせて正面に立つようならば苦戦は免れまい。逆に素早く動きながら潜り込んでボディブローに繋げることができれば攻略は時間の問題といえそうだ。井上が序盤でダメージを被ったり、顔面をカットしたり、あるいはどこかを痛めるなどトラブルがなければ中盤あたりには3階級制覇が見えてくるのではないだろうか。(原功)

マクドネル=1986年3月30日、イギリス出身の32歳。右ボクサーファイター型。戦績:33戦29勝(13KO)2敗1分。

井上=1993年4月10日、神奈川県出身の25歳。大橋ジム所属。右ボクサーファイター型。戦績:15戦全勝(13KO)。

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