[見どころ] 距離を保ちたい吉野 潜って勝負したい細川


9月3日(木) 後楽園ホール

日本 東洋太平洋 WBOアジアパシフィック ライト級タイトルマッチ

王者・吉野修一郎(三迫) vs 挑戦者・細川バレンタイン(角海老宝石)


吉野=1991年9月28日、栃木県出身の28歳。右ボクサーファイター型。戦績:12戦全勝(10KO)。

細川=1981年4月16日、宮崎県出身の39歳。右ボクサーファイター型。戦績:35戦25勝(12KO)7敗3分。


 ライト級の三つの地域王座を持つ吉野が、元日本スーパー・ライト級王者の細川の挑戦を受ける。体格や若さで勝る吉野が有利とみられるカードだが、プロでの経験値が高い細川は侮れない相手といえる。WBO11位、WBCとIBFで15位にランクされる吉野にとっては試されることの多い試合になりそうだ。

 吉野はアマチュアを経て15年12月にプロデビュー。4戦目で元日本&東洋太平洋王者の加藤善孝(角海老宝石)を破って国内トップ戦線に割り込み、半年後の17年10月には日本王座を獲得した。4連続KO防衛後の昨年10月、空位になっていた東洋太平洋王座とWBOアジアパシフィック王座を同時に獲得し、一気に3冠王者になった。175センチの長身から左ジャブを突いて主導権を握り、右ストレートから返しの速い左でけりをつける攻撃パターンを持っている。今年2月の日本王座V5戦では初回に不覚のダウンを喫したうえ7回まで挑戦者にリードを許したが、8回に逆転のTKO防衛を果たしている。付け入る隙はあるが、一戦ごとにプロでの経験値を上げている点も見逃せない。

 挑戦者の細川は06年5月に25歳で宮田ジムからプロデビュー。13年と16年に計3度、日本王座と東洋太平洋王座に挑んだが、いずれも目的を果たせずに終わった。角海老宝石ジムに移籍後の17年12月、日本スーパー・ライト級王者の麻生興一(三迫)に競り勝ち36歳で初めてベルトを腰に巻いた。この王座は昨年4月、3度目の防衛戦で井上浩樹(大橋)に明け渡したが、7ヵ月後に転向して1回KO勝ちで再起を果たしている。今回の吉野戦は前戦に続きライト級転向第2戦となる。この階級では身長は163センチと小柄だが、距離を潰しながら攻める好戦派で、39歳になっても衰えは感じられない。むしろキャリアを積むごとに逞しさを増している印象だ。

 体格で勝る吉野は、まずは距離を保ちながら右ストレートや左フックを狙うものと思われる。左ジャブと足が機能するかがカギといえる。細川は低い構えから飛び込んでかき回し、軌道の分かりにくい左右フックで勝負をかけるはず。こちらは被弾を最小限に抑えて射程内に入れるかどうかがカギとなる。序盤から駆け引きをまじえた激しいペース争いが見られそうだ。(原功)

東日本ボクシング協会

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